千葉三大ラーメンというものをご存じか。
それは「竹岡式ラーメン」「アリランラーメン」「勝浦タンタンメン」の3つである。
私は千葉県出身だが、1つも食べたことがなかった。暇な平日。一日で全てを制覇しようと思い立つ。
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1軒目:「竹岡式ラーメン」梅乃家
最近めっきり食力の低下が著しいので、可能な限り早いうちから食べ始めないと、1日で3杯のラーメンを食べることは難しい。という訳で、最初は10時から開店している「竹岡式ラーメン」の梅乃家に向かった。
家からは車で約2時間程度。10時の開店と同時に入れるように、8時前には出発したいところである。
しかし朝の私はどうにもダメだ。ちゃんと7時15分には起きたのに、なぜだか出発したのは8時20分。今日は朝食も食べないし、適当に顔洗って、適当な服着るだけだというのに。
旅の出発や待ち合わせの際、私は不測の事態に備えて、早めに起きるのだが、毎回不測の事態が発生してちょっと遅刻する。今日は便のキレが悪かった。
結局10時30分ごろ到着。この後すぐに行列ができ始めていたので、何とかいいタイミングには間に合ったとしよう。
店前に近づくだけで分かる、あたり一帯に立ち込める醤油の香り。何も知らなかったら、醤油をぶちまけてしまったのかなと思うほど。
そもそも竹岡式ラーメンとはどんなものなのか。以下引用。
千葉県富津市の竹岡漁港の街で人気の「竹岡ラーメン」。その特徴は、独特の作り方にある。スープを使用せず、チャーシューを煮込んだ醤油ダレに麺を茹で上げたお湯を入れるのみ。薬味には、やさしい味わいの玉ねぎの角切りを使う。また、生麺ではなく乾麺を使用し、炭火の七輪で茹でるのもポイント。竹岡式ラーメン - 【郷土料理ものがたり】
店内はレトロな海辺の家という趣。そこでおばちゃんたちがせっせとラーメンを作っている。様子を眺めていると本当に麺をゆでたお湯で醤油ダレを割っているだけだった。果たして。
到着。やくみとしてトッピングした玉ねぎが大量。
まずは一口スープを飲んでみると、予想外に美味しくて驚いた。確かに出汁っぽさは薄く儚いが、醤油の美味しさがダイレクトに感じられる。単調な味ではあるので、玉ねぎのアクセントも嬉しい。
そして麺は本当に乾麺。慣れ親しんだサッポロ一番とかそんな感じのあれ。これも意外といい。
豚肉を醤油で煮込みました!という期待通りの美味しさのチャーシューがごろっと3枚入っていて、それをおかずに麺を食べるという感じ。豚バラ高騰で4枚⇒3枚に減ったと張り紙があったが、私には3枚あれば十分すぎるボリュームだった。
いやー美味しかった。大満足。そう。分厚いチャーシューとスープを吸って膨らみ続ける乾麺に、私は満ち足りてしまった。つまり。お腹いっぱい。やばい。もう帰ってもいい。
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2軒目:「アリランラーメン」らーめん八平
次に目指すはアリランラーメン。1軒目からは車で1時間ほど。さすがにお腹が空かないので、寄り道をすることにする。
笠森観音 日本唯一の四方懸造り 坂東三十三観音札所 第三十一番札所
クマの森ミュージアム |家族でお出かけ観光スポット | 千葉県
適当に寄ったクマの森ミュージアムが素晴らしかった。こういう手作り感あふれるB級スポットに私は目がない。
少し。ほんの少しお腹が空いてきた気がしたので、目的地に向かうことにする。
そもそもアリランラーメンとはどんなものなのか。以下引用。
『アリランらーめん』とは
当店独自の調理方法により、玉ねぎをベースに
豚肉・ニンニク・ニラ・ネギを使用したピリ辛らあめんです。
『アリランらあめん』の由来
その昔、韓国に「アリラン峠」という峠があり、
その峠にまつわる物語の歌があったそうです。
そこで、当店の場所も峠であり、
「昔の峠越えというのは非常に困難で
元気を出さなければ越えられなかったはず」
そんなときに体力のつくものを・・・というイメージで考案されました。
何やらスタミナ系のがっつりしたラーメンの様。
このラーメンを出すお店は2店舗あるようだが、今回はより秘境感が強い立地の「らーめん八平」に行った。
店前に近づくだけで分かる、あたり一帯に立ち込めるニンニクの香り。何も知らなかったら、ニンニクをぶちまけてしまったのかなと思うほど。
お店は古民家で、落ち着く佇まい。スタミナ感あふれる香りが、やっぱりまだ全然空いていなかったお腹を攻撃する。
到着。先ほどの竹岡式とは打って変わり、ガツンと濃い味の醤油スープ。ニンニクとニラの風味がかなり強く感じられて、パンチのある味である。スープ自体は結構ピリピリと辛いのだが、その分ゴロっとした玉ねぎが甘みを発揮していて印象的だった。チャーシューもホロホロ感としっとり感が兼ね備えられていて、とても良い。
個人的にこういうニンニクの効いた味はそこまで好みではないのだが、後を引く甘辛味でとても美味しかった。しかし。ふがいないが。空腹のときに食べたかった。絶対その方が美味しい。そんな一杯。
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3軒目:「勝浦タンタンメン」江ざわ
最後の目的地は港町の勝浦市。この旅は一日で海・山・海と巡ることになる。2軒目からは車で40分ほど。
勿論そのまま直行できるわけもなく、寄り道。
ハーブティー通販専門店 大多喜ハーブガーデン|千葉県のドッグカフェ併設ハーブ園
【現在休館中】大多喜城(県立中央博物館大多喜城分館) - 大多喜町公式ホームページ
旅先で城を見かけたら、とりあえず行ってみようとなる。そしてそのたびに自分が建物好きでも歴史好きでもないことを知る。でもまた見かけたら行く。私にとって城とはそういうものである。
全く。全くお腹は空かないが、最後の店に向かうことにする。
そもそも勝浦タンタンメンとはどんなものなのか。以下引用。
勝浦のタンタンメンは、当地の海女さん・漁師さんが寒い海仕事の後に、冷えた体を温めるメニューとして定着してきました。
メニューの特徴は、通常のゴマ系と違い、醤油ベースのスープにラー油が多く使われたラー油系タンタンメン。
具材はミジン切りの玉ネギと挽肉が入ることが一般的で、お店によってニンニク、ニラ、ネギが入ったり、スープも味噌ベースのお店もあったりと各店が特色を生かしたメニューを提供しております。
たくさんのお店があるようだが、ここは元祖である「江ざわ」を訪問。
店前に近づくだけで分かる、あたり一帯に立ち込めるごま油の香り。何も知らなかったら、ごま油をぶちまけてしまったのかなと思うほど。
店内に入ると壁面には所狭しと芸能人のサインが飾ってあった。一見誰だか分からないが、ちょっと考えてから、あーあの人だと分かる絶妙な塩梅のサインを探しながら待つ。
到着。やはり表面を覆う分厚いラー油の層が味を決めている。麵をすすると、直線的な辛さと香ばしい香りが襲ってくる。スタンダードな辛さで注文しているが、それでも結構辛い。スープ自体は醤油味で、かなり塩気が強めな印象。しかし印象的なのは、ゴロっと入った玉ねぎの衝撃的甘さ。先ほどのアリランラーメンでも玉ねぎの甘みが効いていたが、しょっぱさと辛さとの対比がこちらの方が強いので、さらに強烈に玉ねぎの甘さを感じる。
辛さと甘さの中毒性で満腹中枢をバグらせることに成功し、なんとか完食。とても美味しかった。はず。……一日に3杯もラーメンを食べた私は、もう訳が分からなくなってしまっていたのだ。どんなに美味しかろうが、口がラーメンを求めていなかった。
ただただ、魚が食べたかった。港町で新鮮な魚が食べたかった。
皆さまは無理せず、一軒ずつ回ることを推奨いたします。お疲れさまでした。