暇のパラメータ

暇なので書いてます。

行きつく先

最近ブログを書いていなかった。その間、何をしていたかというと、将棋をしていた。

youtubeのオススメに将棋の解説が出てきたので、何の気なしに見てみると、思いのほか面白かったのだ。それから次々と将棋の解説を見るようになり、自分でもやってみたいと思い始めた。もともとは駒の動かし方を知っている程度だったのだが、この2か月はコンピューターと対局したり、本を読んだり、詰将棋をしたりと、毎日何かしら将棋の勉強をしている。

そして、なんとなく自分の戦型が固まってきた現在。ある問題が発生している。

 

私は卓球が上手すぎるということだ。

支離滅裂に感じるかもしれないが、これが大問題なのだ。

 

私は中学から大学まで卓球に打ち込んでいた。全国大会に出場したこともあるほど一生懸命に、毎日毎日卓球をしていた。その結果、常人では手も出ないほどのスピードのスマッシュを打ち、またそれに反応し、ボールに変幻自在な回転をかけ、台の端から端まで自由にコースを打ち分けられるようになった。

一方、将棋はどうだ。よたよたと本で読んだ定石を真似するのみで、知らない手を打たれた途端に狼狽し、コンピューターの6級相手に待ったを連発している。挙句負ける。

もちろん始めて2か月なのだから当たり前である。しかしそのたびに、自分の卓球の上手さを痛感してしまうのだ。

卓球をしていた頃、当たり前に行っていた「フォア前に短く下回転サーブを出すので、フォア前かバック深くに返してもらって、フォア前だったらバックに流して、バック深くだったら回り込んでバックに打つので、そっからバック対オールで」という練習なんて、意味が分からない。レベルが高すぎる。あの頃は思った通りに、思ったボールが打てるのが前提で成り立っていた。将棋ではフォア前にどころか、まだ下回転サーブすらまともに出せていない。

 

もう卓球より上達するものはない。何か新しいことを始めるたびに、その思いが水を差してくる。

じゃあ卓球しておけよという話だが、久々に卓球をしてみると、あの頃当たり前にやっていた練習が全然続かなくなるほど下手になっているのだ。もう何なんだ。結局卓球も大したことねえじゃねえか。

 

とりあえず、もう少し将棋を続けてみようと思う。

 

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これまで、学生時代の細やかな栄光に囚われている哀れな男のように書いてきたが、事実、いつまでも過去の卓球の実績を誇っているのはダサい。では現在進行形で、私が他人に誇れるものは何か。

 

それは「お通じの良さ」だ。

 

私は非常にお通じがいい。快腸。野菜・海藻・豆類などが好きなので、ちゃんと食べているからだろうか。1日3回、ご飯を食べた後に規則正しく便が通る。

入れたら出る。さながらロケット鉛筆の様である。この例えを友人に誇らしげに話した際、ロケット鉛筆では出したものをそのまま口に入れることになっていないか、と鋭い指摘を受けた。確かに言われてみればその通りだ。しかし私が言いたいのはそういうことではない。ここはひとつ、私から出たものが肥やしとなり、作物を育て、また私の口に入る。そんな長いサイクルでとらえて、ロケット鉛筆ということにしていただきたい。

ちなみに一回の時間も長い。家だと30分以上トイレに籠ってしまう。一日のスケジュールを円グラフで書くあれをやった場合、私は1日3回のトイレを書かざるを得ない。もちろん、ずっと踏ん張っている訳ではなく(というか踏ん張る必要のない快い便しか出ない)、トイレの中で何かを読んだり考えたりする時間が、私にとって非常に貴いものなのである。

 

とまあこんな感じで、私はうんちの話を頻繁にしている。きっとお通じがいいからだろう。

何気ない日常の話から、うんちに関する馬鹿話、はたまた真剣な考察など、うんちの話であれば硬軟自在に話すことができる。特に「家の前にうんちがモリモリと入った女性のパンツがあった話」は、私の一番の鉄板トークである。何回も何回も話すうちに、完成度も上がっていて、今では落語のようになっている。

 

故あって昨年末から職場環境が変わった。それなりに飲み会などで交流する機会も増えてきたのだが、そこでも変わらずうんちの話をしている。何なら真っすぐにうんちの話で切り込んでいる。覚えたての将棋になぞらえるとすれば、棒便戦法といったところか。

幸運なことに、職場にはうんこ肯定派の方が多かったので、今のところ友好的な関係を築けている。

 

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私が卓球を始めた理由は、映画「ピンポン」の窪塚洋介がかっこよすぎたからである。そんな憧れの窪塚はここ数年"腸活"を盛んに発信している。全ての道は窪塚に通ず。

www.youtube.com

味が薄いことに関しては何の文句もない

薄味が好きだ。

というか味が薄いことに関しての許容範囲が、かなり広い。サラダはドレッシングを使わず食べるし、肉とかも味付けせずただ焼いただけで美味しく食べられる。

逆に味が濃いことに関しては気になる。ちょっとでも味が濃いとすぐに言ってしまう。

ということで私の作る料理は基本的に味が薄い。何も意識せずに料理すると、一般的なものの2歩手前の塩加減になる。それでも私としては十分美味しい。

私が料理を振舞った際、食べた人の顔がどんどんと曇っていったことがある。コロナにかかったと思ったそうだ。どう考えても味が薄すぎるのに、私が美味しそうに食べているから。

 

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先日、職場近くのステーキ屋さんに行った。平日のランチにしては少し豪勢だが、腹ペコで肉が食べたい気分だった。

店内はアメリカンな内装で、いかにもステーキハウスといった趣き。それだけでテンションが上がる。私はランチのハンバーグセットを注文した。こういうお店に来ると、雰囲気に流されてステーキを頼みたくなってしまうが、私は絶対にハンバーグの方が好みである。

店内はそれほど混んでおらず、ランチにはコーヒーもついてくるらしいので、食後は少しゆっくりさせてもらおうと思った。

ほどなくして、サラダと小さなカップに入ったコンソメスープが出てきた。その後すぐにハンバーグとライスも到着。鉄板のバチバチと爆ぜる音が食欲をそそる。とてもお腹が空いていたので、ものすごい勢いで食べてしまった。ライス大盛にすればよかった。

食後。一息つく。そういえば、まだコーヒーが出てきていなかったので、店員さんにお願いをした。

 

「すでにお出ししておりますが……」

 

予想外の返答。最初何を言っているのか分からなかった。少し考えてハッとする。

 

私がコンソメスープだと思って飲んでいたものがコーヒーだったのだ。

そんな馬鹿な。あれは完全に見た目がコンソメスープの色をしていた。透き通った琥珀色。しかし実際はとんでもなく薄いコーヒーだったのである。さすがに粉の分量を間違えたとか、何かの手違いだとは思う。いくら何でもアメリカンにもほどがある。

人間の思い込みとは恐ろしい。視覚から完全にコンソメスープと判断していたので、飲んでも全く気が付かなかった。仮にコンソメスープだとしても味が薄すぎるのだが(というか何の味もついていない)、そこで私の薄味への許容力が発揮され、美味しく飲んでしまっていた。

 

お水で居座るのも何なので、結局そそくさと店を出た。

 

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書いていて思ったが、果たしてこれは薄味好きと言えるのだろうか。もはや私はただの味音痴なのかもしれない。

ちなみにハンバーグは少ししょっぱかった。

1日で千葉三大ラーメンを全部食べる

千葉三大ラーメンというものをご存じか。

それは「竹岡式ラーメン」「アリランラーメン」「勝浦タンタンメン」の3つである。

私は千葉県出身だが、1つも食べたことがなかった。暇な平日。一日で全てを制覇しようと思い立つ。

 

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1軒目:「竹岡式ラーメン」梅乃家

maruchiba.jp

最近めっきり食力の低下が著しいので、可能な限り早いうちから食べ始めないと、1日で3杯のラーメンを食べることは難しい。という訳で、最初は10時から開店している「竹岡式ラーメン」の梅乃家に向かった。

家からは車で約2時間程度。10時の開店と同時に入れるように、8時前には出発したいところである。

しかし朝の私はどうにもダメだ。ちゃんと7時15分には起きたのに、なぜだか出発したのは8時20分。今日は朝食も食べないし、適当に顔洗って、適当な服着るだけだというのに。

旅の出発や待ち合わせの際、私は不測の事態に備えて、早めに起きるのだが、毎回不測の事態が発生してちょっと遅刻する。今日は便のキレが悪かった。

 

結局10時30分ごろ到着。この後すぐに行列ができ始めていたので、何とかいいタイミングには間に合ったとしよう。

店前に近づくだけで分かる、あたり一帯に立ち込める醤油の香り。何も知らなかったら、醤油をぶちまけてしまったのかなと思うほど。

すぐ隣は海というロケーション

そもそも竹岡式ラーメンとはどんなものなのか。以下引用。

千葉県富津市の竹岡漁港の街で人気の「竹岡ラーメン」。その特徴は、独特の作り方にある。スープを使用せず、チャーシューを煮込んだ醤油ダレに麺を茹で上げたお湯を入れるのみ。薬味には、やさしい味わいの玉ねぎの角切りを使う。また、生麺ではなく乾麺を使用し、炭火の七輪で茹でるのもポイント。竹岡式ラーメン - 【郷土料理ものがたり】

店内はレトロな海辺の家という趣。そこでおばちゃんたちがせっせとラーメンを作っている。様子を眺めていると本当に麺をゆでたお湯で醤油ダレを割っているだけだった。果たして。

ラーメン(950円)+やくみ(100円)

到着。やくみとしてトッピングした玉ねぎが大量。

まずは一口スープを飲んでみると、予想外に美味しくて驚いた。確かに出汁っぽさは薄く儚いが、醤油の美味しさがダイレクトに感じられる。単調な味ではあるので、玉ねぎのアクセントも嬉しい。

そして麺は本当に乾麺。慣れ親しんだサッポロ一番とかそんな感じのあれ。これも意外といい。

肉厚なチャーシューが醍醐味

豚肉を醤油で煮込みました!という期待通りの美味しさのチャーシューがごろっと3枚入っていて、それをおかずに麺を食べるという感じ。豚バラ高騰で4枚⇒3枚に減ったと張り紙があったが、私には3枚あれば十分すぎるボリュームだった。

いやー美味しかった。大満足。そう。分厚いチャーシューとスープを吸って膨らみ続ける乾麺に、私は満ち足りてしまった。つまり。お腹いっぱい。やばい。もう帰ってもいい。

 

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2軒目:「アリランラーメン」らーめん八平

ariranramen.com

次に目指すはアリランラーメン。1軒目からは車で1時間ほど。さすがにお腹が空かないので、寄り道をすることにする。

 

笠森観音 日本唯一の四方懸造り 坂東三十三観音札所 第三十一番札所

「笠森観音」重要文化財である観音堂

クマの森ミュージアム |家族でお出かけ観光スポット | 千葉県

もう入口が嬉しい。

料金所のネコはアクビをしながら今日も一日を過ごしている

B級スポット感が最高。

点在する木彫りのクマに癒される。

適当に寄ったクマの森ミュージアムが素晴らしかった。こういう手作り感あふれるB級スポットに私は目がない。

 

少し。ほんの少しお腹が空いてきた気がしたので、目的地に向かうことにする。

 

そもそもアリランラーメンとはどんなものなのか。以下引用。

アリランらーめん』とは

 当店独自の調理方法により、玉ねぎをベースに

 豚肉・ニンニク・ニラ・ネギを使用したピリ辛らあめんです。

アリランらあめん』の由来

 その昔、韓国に「アリラン峠」という峠があり、

その峠にまつわる物語の歌があったそうです。

 そこで、当店の場所も峠であり、

「昔の峠越えというのは非常に困難で

元気を出さなければ越えられなかったはず」

そんなときに体力のつくものを・・・というイメージで考案されました。

『アリランらーめん』とは | 【アリランラーメン公式HP】八平の食堂・らーめん八平

 

何やらスタミナ系のがっつりしたラーメンの様。

このラーメンを出すお店は2店舗あるようだが、今回はより秘境感が強い立地の「らーめん八平」に行った。

山間部の秘境にある。「最も駅から遠いラーメン」と言われるほど。

店前に近づくだけで分かる、あたり一帯に立ち込めるニンニクの香り。何も知らなかったら、ニンニクをぶちまけてしまったのかなと思うほど。

お店は古民家で、落ち着く佇まい。スタミナ感あふれる香りが、やっぱりまだ全然空いていなかったお腹を攻撃する。

アリランチャーシュー(1,300円)

到着。先ほどの竹岡式とは打って変わり、ガツンと濃い味の醤油スープ。ニンニクとニラの風味がかなり強く感じられて、パンチのある味である。スープ自体は結構ピリピリと辛いのだが、その分ゴロっとした玉ねぎが甘みを発揮していて印象的だった。チャーシューもホロホロ感としっとり感が兼ね備えられていて、とても良い。

個人的にこういうニンニクの効いた味はそこまで好みではないのだが、後を引く甘辛味でとても美味しかった。しかし。ふがいないが。空腹のときに食べたかった。絶対その方が美味しい。そんな一杯。

 

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3軒目:「勝浦タンタンメン」江ざわ

katsutan-sendan.com

 

最後の目的地は港町の勝浦市。この旅は一日で海・山・海と巡ることになる。2軒目からは車で40分ほど。

勿論そのまま直行できるわけもなく、寄り道。

 

ハーブティー通販専門店 大多喜ハーブガーデン|千葉県のドッグカフェ併設ハーブ園

ハーブ園で深呼吸することで、体内のニンニク臭を浄化することを試みる。

【現在休館中】大多喜城(県立中央博物館大多喜城分館) - 大多喜町公式ホームページ

本物の城ではなく、天守を模した博物館とのこと。

旅先で城を見かけたら、とりあえず行ってみようとなる。そしてそのたびに自分が建物好きでも歴史好きでもないことを知る。でもまた見かけたら行く。私にとって城とはそういうものである。

 

全く。全くお腹は空かないが、最後の店に向かうことにする。

 

そもそも勝浦タンタンメンとはどんなものなのか。以下引用。

 勝浦のタンタンメンは、当地の海女さん・漁師さんが寒い海仕事の後に、冷えた体を温めるメニューとして定着してきました。

 メニューの特徴は、通常のゴマ系と違い、醤油ベースのスープにラー油が多く使われたラー油系タンタンメン。

 具材はミジン切りの玉ネギと挽肉が入ることが一般的で、お店によってニンニク、ニラ、ネギが入ったり、スープも味噌ベースのお店もあったりと各店が特色を生かしたメニューを提供しております。

勝浦タンタンメン船団

たくさんのお店があるようだが、ここは元祖である「江ざわ」を訪問。

普段はすごい行列だそうだが、いい具合に時間がずれたので空いていた。

店前に近づくだけで分かる、あたり一帯に立ち込めるごま油の香り。何も知らなかったら、ごま油をぶちまけてしまったのかなと思うほど。

店内に入ると壁面には所狭しと芸能人のサインが飾ってあった。一見誰だか分からないが、ちょっと考えてから、あーあの人だと分かる絶妙な塩梅のサインを探しながら待つ。

担々麺(880円)

到着。やはり表面を覆う分厚いラー油の層が味を決めている。麵をすすると、直線的な辛さと香ばしい香りが襲ってくる。スタンダードな辛さで注文しているが、それでも結構辛い。スープ自体は醤油味で、かなり塩気が強めな印象。しかし印象的なのは、ゴロっと入った玉ねぎの衝撃的甘さ。先ほどのアリランラーメンでも玉ねぎの甘みが効いていたが、しょっぱさと辛さとの対比がこちらの方が強いので、さらに強烈に玉ねぎの甘さを感じる。

辛さと甘さの中毒性で満腹中枢をバグらせることに成功し、なんとか完食。とても美味しかった。はず。……一日に3杯もラーメンを食べた私は、もう訳が分からなくなってしまっていたのだ。どんなに美味しかろうが、口がラーメンを求めていなかった。

ただただ、魚が食べたかった。港町で新鮮な魚が食べたかった。

 

皆さまは無理せず、一軒ずつ回ることを推奨いたします。お疲れさまでした。

バリー・マーシャル

走ることが全く好きではない。特に長距離。理由はシンプルで、楽しくなくて疲れるから。

私は中学から大学までの10年間、一生懸命卓球に打ち込んでいた。卓球自体はひたむきに努力していたと思う。ただ、その中で義務的に出現する走り込みだけは、どうしてもやりたくなかった。

走るほど弱くなる。走り込みは卓球選手にとってタバコと一緒。百害あって一利なし。などの暴論を振り回し、私は最大限走り込み練習を回避するように立ち回っていた。

まあでもそれは言い過ぎだとしても、卓球選手に走る力など必要ない、そう今でも信じている。

 

ちなみに以前、毎朝通勤電車に間に合わすために走っているという文章を書いたことがある。

嫌いと言いつつ、毎朝走っているじゃないかと思われるかもしれないが、それは走りたくないを上回るほどの、朝の私のルーズさ故である。また別の問題。

kikikeke.hatenablog.com

 

さて、ここからが本題なのだが、そんな私が職場のあれやこれやで、リレーマラソン大会というものに出場することになってしまった。まさかこの私がマラソンだなんて。

なにやら1.2kmの周回コースをチームでタスキを繋ぎながら、3時間走るというものらしい。私の参加するチームは6名なので、一人30分は走る計算になる。

まさに私の嫌いなやつである。しかしせっかくお誘いを受けた訳だし、チームの中では若い方で一応運動部の出身として、多少の期待はされてしまっている。全く走れずにヘロヘロでは格好がつかない。

私は何とかする方法を考えた。まず最初に思いついたのは、箱根駅伝の選手がみんな履いていることで話題になった、ナイキのカーボンプレート入り厚底シューズを購入することだった。結局、カーボンが最強。私が卓球人生で学んだ大いなる知見である。一生懸命素振りや筋トレを繰り返すより、高いお金を出してカーボン入りの最新ラケットを使った方が球は速くなるのだ。

しかしこれは断念した。本来私はこうした無駄な出費をいとわないのだが、素人がこれを履くとかえって故障するという話を聞いたためだ。

 

という訳でプランB。GWに野尻湖に旅行したのだが、何とそこには今年の箱根駅伝を優勝した駒澤大学陸上部の合宿所があったのだ。そこで大八木監督の激を思い浮かべながら、湖畔を軽くランニングしてみた。

野尻湖と言えばナウマンゾウ

とりあえず記念撮影

駒沢大学陸上部と同じコースで合宿をしてきましたよ!」私は写真を添えて、仲間に意気揚々と伝えた。もちろん実際には、湖畔の周りをほぼ歩いていただけに過ぎない。

しかしグループラインでは「なんてやる気のある新星が現れたんだ」などと盛り上がりを見せていた。そうして期待値を上げるだけ上げて、いざ走ったら全然ダメダメ。そんな道化を演じる作戦に切り替えたのである。

 

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それ以来一度も走ることなく当日。なんと私はスタートの1周目を任されてしまった。

ゲートの前に集う市民ランナーたち。見るからに真剣。そこに混じっていると、なぜだか私も高揚してきて、走れる気がするから不思議だ。

そしてスタートの号砲が響き渡る。

 

瞬間。ランナーたちが鮮烈にロケットスタートかましてきた。もう全力疾走レベルの勢いだった。一瞬で集団から引きはがされてしまう。

その時点で落ち着くべきだったのだが、判断を誤り、私も集団に食らいつこうとスピードを合わせてしまった。自分が1.2kmという距離をどれくらいのペースで走れるものなのか、私は知らなかったのだ。なぜなら碌に練習をしていないから。完全に身の丈に合わない闘いを挑んでいた。

その結果、1/3を過ぎたあたりで息が詰まり、足が絡まり、気が滅入り、心が折れた。これぞランナーズロー。もう勘弁してくれ。

途中、妄想合宿のことを思い出し、妄想の大八木監督に激を飛ばしてもらったが、何の力にもならなかった。ああいう言葉は、苦楽を共にしてきた監督から言われるから元気づくのだ。なんら関係性のない、妄想のオールバック眼鏡の厳ついおっちゃんに「男を見せろ!」と言われても、煩わしいとしか思えなかった。

後半大幅に失速しながらも、惰性でよたよたと走り、命からがら仲間にタスキを繋ぐ。倒れこみながらタスキを渡すシーンだけは一丁前に上手にできたと思う。

 

結局、私は5周6kmを走った。チームとしては楽しめればいいという雰囲気で、結果にこだわっていなかったので良かった。タイム的には私は迷惑をかけず、貢献もせず。まあそれでいい。

そして、何とか走り終えた私に残ったものは、計り知れないダメージだけだった。足だけでなく、体のいたるところが痛い。だるい。もう絶対に走りたくない。

 

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翌日。普通に出勤。

筋肉痛はすさまじく、「うぅっぐ」「ぐぁっ」「いげぁ」などの唸りを発声しながらでないと動くことができない。特に階段を降りることがつらくてしょうがなかった。

 

それでも普通に出勤。恐ろしい。

だが、それよりも恐ろしいのは、その日が職場の卓球部の練習日だったことだ。私はマラソンの翌日というとんでもない日程だったことに気が付かず、軽々しく練習に行きますと答えてしまっていたのだ。

こんな絶望的筋肉痛のなか、卓球をするなんてありえない。絶対に事前に断っておくべきだった。全く私のずさんなスケジュール管理には呆れてしまう。

だが、これまで何度も予定が合わず、やっと今回初めて練習に参加できるということで、メンバーも楽しみにしてくれているようだったので、もういまさら無しにはできない。とりあえず覚悟を決めて卓球に臨むことにした。

心配なのが、最悪のコンディション故に、実力を発揮できず、卓球部のメンバーにがっかりされてしまうことだった。今の職場に来た際に、私は意気揚々と自分は卓球が強いと吹聴しており(書いていて気が付いたが、私はやたらとハードルを上げる癖がある)、それでボロボロに負けるのはダサすぎる。

 

仕事を最小限のエネルギーでこなし、終業。早速体育館に向かう。この時点で体は未だボロボロ。卓球場が地下にあったので、階段を降りるだけでかなり苦労した。

そして若干不自然な歩き方のまま、卓球部の皆様と顔合わせをした。非常に暖かく迎え入れていただけた。

挨拶もそこそこに早速練習を始める。そしてボールを打ち始めたとき、とんでもないことに私は気がついてしまった。

 

 

全く体が痛くないのだ。

最初はテーブルテニスプレーヤーズハイになっているだけかと思ったが、そんなことはない。やはり筋肉痛を感じないのだ。それだけでなく、フォアサイド遠くのボールにも問題なく飛びつけたし、バックサイド深くのボールにも回り込んでフォアハンドを決めることができた。一切ダメージを感じさせないフットワークだったのである。

 

これが何を意味するかお分かりいただけるだろうか。走っているときに使っている筋肉と、卓球で使う筋肉とは、全くの別物だということなのである。つまりどれだけ走り込もうとも、卓球能力の向上には一切関係ないのだ。

結局その日、私は本来の実力を遺憾なく発揮し、部員全員に勝利することができた。

 

かくして、走り込みは無駄であるという私の長年の仮説が証明された訳である。

ふと私はバリー・マーシャルのことを思い出した。バリー・マーシャルはピロリ菌が胃潰瘍の原因であることを、自らが飲むことで証明して見せた。今の私と全く同じである。偉大なるノーベル賞受賞者の彼と肩を並べて、新たな常識を打ち立てられたこと、非常に嬉しく思います。

 

全国の悩める卓球選手たちに告ぐ。今すぐ走ることをやめよ。

ルームランプ

極めてずぼらな性格のため、しょっちゅう電気を消し忘れてしまう。

特に今の家に引っ越してからは顕著で、2回に1回はトイレの電気をつけっぱなしにしている。前の家ではさすがにここまで酷くはなかった。これは今の家がトイレから洗面所に向かう動線にスイッチがないからだと推測している。用を足して一直線に洗面所に行くと、どうしても電気を消せないという仕組みなのだ。

そう。私は非常にずぼらな性格ではあるが、トイレの後に必ず手を洗う。そして洗面所の電気も消し忘れる。

この前なんか、家に帰るとリビング・キッチン・トイレ・洗面所が全点灯のままだった。思わずビンゴとつぶやいてしまった。

 

勿論、私もいい大人なので、節電の大切さなど重々承知だ。しかしどうにもダメなのだ。車の室内灯だったら、つけっぱなしだとバッテリーが上がってしまうため、緊張感をもって確認する。だが家の電気だと気が緩んでしまう。つけっぱなしでの無駄な電気代というペナルティがあまりに軽い。

 

スマホのデータ容量みたいに、上限を決めてくれたら節電しようとするのだろうか。

 

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ある日。仕事を終えて、駅から歩いて帰る。JRの線路沿いに私の住むアパートはある。本当に線路の真横なので、当然電車の走行音がガンガン聞こえるのだが、私は全く気にならない。これは持ち前のルーズさが良いように発揮された例だろう。

 

到着。その日は何故か、オートロックの正面玄関を回避して、駐車場の方の裏口から回り込むルートを選択した。若干遠回りになるのだが、なんとなく。私にはそういう理由のない無駄な行動が多い。

駐車場をぼんやり眺めながら歩くと、白のフリードの室内灯がつけっぱなしになっているのを発見した。よく子どもと一緒に遊んでいるのを見かける、あのご夫婦の車だ。このままではバッテリーが上がってしまうので、インターホンで教えてあげようと思った。

 

……しかし部屋番号が分からない。駐車場には部屋番号が振られているが、なぜか実際のそれとは一切対応していないのだ。少し考えてみたが、同じアパートの方々との交流が非常に希薄なので、番号について何も情報が出てくることはなかった。

私の住むアパートは3階建て。部屋数はそこまで多くない。私は覚悟を決め、しらみつぶしにインターホンを鳴らしてみることにした。本人に当たらなくても、そのご夫婦の部屋番号を知っている人につながればいいのだ。

 

恐る恐るインターホンを鳴らしていく。しかし不在なのか、夜によく分からない男が訪ねてきたからなのか、皆反応はない。次々と番号を押していき、あれよあれよと収穫ゼロのまま、何と最後の1部屋になってしまった。これは完全に予想外である。

やけくそになりながら最後の1部屋の番号を押す。……やはり反応なし。と思ったら、不意に通話がつながった。つながらないと思い込んでいたので、しどろもどろになってしまった。ぐしゃぐしゃな説明で事情を話すと、その方自身は違ったが、持ち主のご夫妻の連絡先を知っているとのこと。無事お伝えいただけることになった。

 

するとすぐに、上の階からドタドタと人が降りてくる音がした。やはりご在宅でしたか。

正直目的は果たしたので、先に部屋に帰ってしまってもよかったのだが、インターホンを鳴らしてしまっている手前、降りてくるのを待って、白フリードのお父さんにご挨拶をした。

厚く礼を言っていただけたので、なんだかんだ私も徳を積んだいい気分になってしまう。これは数回分の電気の消し忘れを許してもらえる働きのはず。

全くすぐにこんなことを考えてしまうから、消し忘れが一向に改善されないのだろう。

 

ちなみに、私の家はインターホンの映像が録画される仕組みになっている。あの時間、全部屋に要件不明の私の姿が記録されてしまったと思うと、少しぞっとした。

 

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つい先日。またしても気分で、意味なく裏口から回り込んで家に帰る。すると今度は私の車の隣に駐車してある、青いスポーティーな車の室内灯がつけっぱなしになっていた。

まさか2回もこの状況に出くわすとは。

しかし今回は車の持ち主の部屋番号を知っていた。唯一の空き部屋であった、私の上の部屋に引っ越してこられた方なので覚えている。

 

前よりは落ち着いた気持ちでインターホンを鳴らす。なんと今回はすぐに通話がつながった。そして事情を話そうとしたその時。

 

電車が轟音を響かせて通過した。全く私の声が伝わらない状態。声を張り上げるのも嫌なので、電車が通り過ぎるのを待つ。これがあまりにも気まずい時間だった。体感50秒ほど待って、ようやく話をすることができた。よく青スポーティーの彼も待っていてくれたものだ。

そしてインターホン越しに厚く礼をいただく。徳の高い私は満足感に浸りながら、部屋に帰った。

案の定、トイレの明かりは煌々と灯ったままである。

日記を本で読む


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今日は一日ぽっかりと予定の空いた日だったので、第3回日記祭に向かった。

ありがたいことに、そこで配布される「はてなブログの日記本」に、私の文章も掲載していただけることになったのだ。是非とも実物の本を貰っておきたい。

blog.hatenablog.com

 

昼過ぎに下北沢に到着。一目散に会場であるBONUS TRACKへ。日記祭がどのようなものなのか、あまりイメージせず向かったため、着いたときはその洒落た雰囲気に少し驚いた。こじんまりとした区画に、良い感じのご飯屋さんやお店屋さんがテナントに入っている素敵な空間だった。今日が日曜のよく晴れた昼というのも素敵さを倍増させている。

はてなブログのブースは入ってすぐのところにあった。そして無事「はてなブログの日記本」を入手。

あとでゆっくり読むとして、自分のページを探してちらりと確認する。確かに載っている。本当にありがたい。

それからブースを一通り見て回り、数冊の日記本を購入した。以前からブログを拝読している人の本もあれば、初めて拝見した方の本も。むしろ初見の出会いがこうしたイベントの醍醐味な気もする。

 

目的を果たしたあとは下北沢には戻らず、そのまま小田急線に沿って散歩をすることにした。初めてこの辺りを歩いたが、広々とした公園があったり、木漏れ日差す緑道がずっと続いていたりと、自然豊かな多摩地域から来ている私ですら癒されてしまった。なんか悔しかった。そりゃみんな住みたくなるわ、といった感じ。

そしてとうとう2時間ほどで、成城学園前までの7駅分歩いてしまった。結構な距離歩いたが、新鮮で見どころも多かったので、疲労はそこまで感じなかった。

以前住んでいた山梨県で考えてみると、2時間歩いても1駅分がやっとだろう。というかもはやハイキングと言って差し支えない山道を歩かされることになる。

散歩は都市向きの趣味だとつくづく思う。

 

最後の成城学園前では旧山田家住宅に寄ってみた。

www.city.setagaya.lg.jp

そこでの自分の暮らしを妄想しながら巡る。文化財として価値があるほど立派な洋館なのだが、一部屋だけ和室があって、何だかんだそこが一番素敵に感じてしまった。結局、畳があればそこに居着いてしまうに違いない。

 

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帰宅。

手に入れた日記本をじっくり読んでいく。ぐっとくる文章に多数遭遇できた。あと驚いたのだが、web上で読むのと読み心地が全然違った。ちゃんと本として日常が物語になっていた。

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ひどい仕打ち

私はしがない勤め人である。しかし故あって昨年転職をして、そのタイミングの関係で今年は確定申告をしなければならなくなった。

人事課でそれを聞いたときゾッとした。そして全ての思考を放棄した。

恥ずかしながら、私は確定申告の何たるかを全く理解していない。かといって調べようとも思わない。ただ漠然とした恐怖と嫌悪感によって、現実から目を背けることにしたのだ。

 

とにかくずぼらな人間である私は、当然のようにこのような公的手続きが嫌いである。面倒くさい。ああ面倒くさい。

 

所得税の申告だけなので手間はかからない、なんて同僚は軽々しく言う。しかし、ちゃっかり年末に調整してもらっている人間の言葉など私には一切響かない。何せこちらは自分で確定を申告しなければならないのだから。

 

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あっという間に締め切りである3月15日が近づいてきてしまった。確定申告に関する全てを忘却し、何とかここまで平穏な日々を過ごしてきたが、そろそろ向き合わないといけない。

極めてずぼらではあるが、最低限の良識を持ち合わせていることは自分のプライドであるので、期限内には終わらせる必要がある。

 

まず私は、しぶしぶマイナンバーカードの健康保険証利用申し込みと公金受取口座登録を行うことにした。

 

……何故だ。もちろんこの行為は確定申告には一切関係ない。

ちょうどこのタイミングで、やっていなかったことを思い出したのだ。これらの手続きによってポイントがもらえる締め切りは5月末まで。まだ余裕が全然ある。

絶対に確定申告を先にやるべきだが、緊急度の高いタスクを後回しにする悪癖がここで発動してしまった。

 

肝心の手続き自体は割とスムーズに完了した。もちろん色々と情報を入力するのは面倒くさいのだが、これで1万5千円もらえるなら全然納得できるレベル。

なんだかんだ、ずぼらな私がしぶしぶでも手続きをするし、そもそもマイナンバーカードをすでに持っていた訳だから、マイナポイントは偉大である。

 

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結局翌日。その日は仕事が午前終わりだった。いよいよ確定申告に取り掛かろうと腹をくくる。

適当に調べてみると、確定申告できるアプリがあるということで、早速ダウンロードして情報を入力し始めた。しかし何かが違う。私のようなぽっと出の申告者ではなく、より本格的に取り組む猛者のためのものな気がする。

改めてちゃんと調べてみると、アプリではなくwebページのe-taxからでよいと判明。e-tax。なんか聞いたことはあった。

先ほどアプリで入れた情報を再度打ち込まなければならないことに辟易する。とにかく余計なことは考えず、指示通りに進めると、30分もかからず無事確定申告が完了した。

確かに特別な作業としては、2つの勤務地の源泉徴収票の情報を入れるだけだから、猛者からしたらなんてことない作業なのだろう。普段これ以上の仕事をしている皆様には頭が下がる。

しかし私にとっては十分に大仕事であったことも事実である。まるで一日働いたかのような疲労感と満足感に浸りながら、私は確定申告結果の画面を確認した。

 

 

……3万円追加納税とか書いてあるんですけど。

 

 

あり得ない。だってマイナンバーカード手続きの仕事をしたときは、1万5千円貰えたというのに。それよりもざっと見積もって2倍以上は大変だったので、むしろ3万円貰っていい仕事のはず。それを逆に3万円払えだなんて、あまりにもひどい仕打ちである。

 

世間知らずが露呈するので恥ずかしいが、マイナポイントを貰ったせいで、私は面倒くさい公的手続き=お金が貰えるという脳味噌になってしまっていた。

あまりの納得のいかなさに、あれほど面倒くさがっていた手続きを最初からやり直してみたりしたが、結果は変わらず。しぶしぶ3万円を払うことを受け入れた。

 

結局トータルで1万5千円のマイナスである。これからpaypayに入ったマイナポイントを使うたびに、私は悔しい3万円を思い出すはめになってしまった。

いっそのこと、気になっていた靴でも買って、目障りなマイナポイントを使い切ってやろうと思う。