暇のパラメータ

暇なので書いてます。

ひどい仕打ち

私はしがない勤め人である。しかし故あって昨年転職をして、そのタイミングの関係で今年は確定申告をしなければならなくなった。

人事課でそれを聞いたときゾッとした。そして全ての思考を放棄した。

恥ずかしながら、私は確定申告の何たるかを全く理解していない。かといって調べようとも思わない。ただ漠然とした恐怖と嫌悪感によって、現実から目を背けることにしたのだ。

 

とにかくずぼらな人間である私は、当然のようにこのような公的手続きが嫌いである。面倒くさい。ああ面倒くさい。

 

所得税の申告だけなので手間はかからない、なんて同僚は軽々しく言う。しかし、ちゃっかり年末に調整してもらっている人間の言葉など私には一切響かない。何せこちらは自分で確定を申告しなければならないのだから。

 

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あっという間に締め切りである3月15日が近づいてきてしまった。確定申告に関する全てを忘却し、何とかここまで平穏な日々を過ごしてきたが、そろそろ向き合わないといけない。

極めてずぼらではあるが、最低限の良識を持ち合わせていることは自分のプライドであるので、期限内には終わらせる必要がある。

 

まず私は、しぶしぶマイナンバーカードの健康保険証利用申し込みと公金受取口座登録を行うことにした。

 

……何故だ。もちろんこの行為は確定申告には一切関係ない。

ちょうどこのタイミングで、やっていなかったことを思い出したのだ。これらの手続きによってポイントがもらえる締め切りは5月末まで。まだ余裕が全然ある。

絶対に確定申告を先にやるべきだが、緊急度の高いタスクを後回しにする悪癖がここで発動してしまった。

 

肝心の手続き自体は割とスムーズに完了した。もちろん色々と情報を入力するのは面倒くさいのだが、これで1万5千円もらえるなら全然納得できるレベル。

なんだかんだ、ずぼらな私がしぶしぶでも手続きをするし、そもそもマイナンバーカードをすでに持っていた訳だから、マイナポイントは偉大である。

 

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結局翌日。その日は仕事が午前終わりだった。いよいよ確定申告に取り掛かろうと腹をくくる。

適当に調べてみると、確定申告できるアプリがあるということで、早速ダウンロードして情報を入力し始めた。しかし何かが違う。私のようなぽっと出の申告者ではなく、より本格的に取り組む猛者のためのものな気がする。

改めてちゃんと調べてみると、アプリではなくwebページのe-taxからでよいと判明。e-tax。なんか聞いたことはあった。

先ほどアプリで入れた情報を再度打ち込まなければならないことに辟易する。とにかく余計なことは考えず、指示通りに進めると、30分もかからず無事確定申告が完了した。

確かに特別な作業としては、2つの勤務地の源泉徴収票の情報を入れるだけだから、猛者からしたらなんてことない作業なのだろう。普段これ以上の仕事をしている皆様には頭が下がる。

しかし私にとっては十分に大仕事であったことも事実である。まるで一日働いたかのような疲労感と満足感に浸りながら、私は確定申告結果の画面を確認した。

 

 

……3万円追加納税とか書いてあるんですけど。

 

 

あり得ない。だってマイナンバーカード手続きの仕事をしたときは、1万5千円貰えたというのに。それよりもざっと見積もって2倍以上は大変だったので、むしろ3万円貰っていい仕事のはず。それを逆に3万円払えだなんて、あまりにもひどい仕打ちである。

 

世間知らずが露呈するので恥ずかしいが、マイナポイントを貰ったせいで、私は面倒くさい公的手続き=お金が貰えるという脳味噌になってしまっていた。

あまりの納得のいかなさに、あれほど面倒くさがっていた手続きを最初からやり直してみたりしたが、結果は変わらず。しぶしぶ3万円を払うことを受け入れた。

 

結局トータルで1万5千円のマイナスである。これからpaypayに入ったマイナポイントを使うたびに、私は悔しい3万円を思い出すはめになってしまった。

いっそのこと、気になっていた靴でも買って、目障りなマイナポイントを使い切ってやろうと思う。