故あって山梨県に住んでいたときの文章。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
故あって山梨県に住んでいる。
山梨県は完全に車社会で、車がないと生活ができないと言われる。最初はなくても暮らせるんじゃないかとも考えたが、やはりそんなことはなく、車を購入した。これまでの移動手段はキックボードと竹馬というキャラ付けのあった自分からすると、非常にらしくない買い物となってしまったがしょうがない。山梨県の歩道の狭さ、道のがたつき、そして尋常じゃない起伏はキックボードで走破できたものじゃなかった。
ということで普段から車に乗る生活をするようになったわけだが、すると私に小さな変化が起こった。
何となく道の事情に関心が湧くようになったのである。これまで私は地理に猛烈に疎く、道の名前なんて一つも知らなかった。それが今はいっちょ前に、やれ国道何号やら中央道だ圏央道だなどと口にするようになってきている。
そんな車社会の住人、私は大発見をした。それは中央自動車道の大月ー小仏の間はめちゃくちゃ混むということだ。週末の夕方には必ず20キロ超えの大渋滞になっている。
しかし山梨県在住の私はいつも手前のインターで降りるので、渋滞には巻き込まれない。
他人事。なんなら果敢に渋滞に飛び込んでいく人を後目に、颯爽とインターを降り、「だから山梨に住んどけばいいのに」とほくそ笑んでいる。
これはおそらく山梨県の陰謀である。
山梨から脱出しようとする人々を出来るだけ幽閉しておくための。
だっておかしいもの。あんなに毎週毎週渋滞するなんて。というかさっきは大発見なんて言ってしまったけれど、正直車を持つ前から小仏トンネル辺りの渋滞がひどいというのは何か知っていた。道に全く興味のなかった俺ですら知ってるようなレベルの渋滞がずっと解消されないなんて考えられるだろうか。大体渋滞発生のメカニズムだってもう周知徹底されているだろう。緩やかな上り坂で気づかないうちした減速が後列に蓄積されていくという奴だ。そしてこれが小仏トンネル辺りで発生している。ここまでわかっていて何故渋滞する。人間はそんなに愚かか。いや違う。
間違いなく、これは山梨の陰謀である。あえて渋滞を起こしているのだ。
先日、この陰謀論を東京在住の友人に話したところ、「むしろあの渋滞が嫌だから山梨方面は足が遠のく」と言われてしまった。
哀れ山梨県。策士策に溺れるとはこのことである。
また後日、この陰謀論を神奈川県出身の同僚に話をしたところ「小仏トンネルは神奈川県だよ」と言われてしまった。
哀れ私。地理に疎すぎる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
先日久々に小仏トンネルを通ったのだが、トンネルから「速やかに速度回復してください」という、けたたましい音声が流れてきた。
そのアナウンスで私は70キロ近くにまで減速していたことに気がついた。
すみませんでした。愚か者でした。
何やらトンネルの増設など、抜本的な対策も進めているようだ。流石である。
頑張れNEXCO。